​監督:Ingmar Bergman

皆さんこんにちは!先週より始まりましたアドベント企画、本日第二回ではスウェーデンの古典的クリスマス映画をご紹介します🎄


スウェーデンのクリスマスと映像作品との関係を語る上で欠かせないものの一つに、毎年SVT(スウェーデンの公共テレビ局)にて24話にわたり放映されるJulkalendernというTVドラマシリーズがあります。年ごとに新しいテーマと題材で制作される本シリーズは、1960年よりいまなお続くテレビ業界の伝統行事となっています(現在放映中の2019年版JulkalendernはSVTの放送アーカイブから視聴が可能です。リンクはこちら)。


またスウェーデンのTV番組では、各国の新旧Julfilm(クリスマス映画)の紹介に特化したプログラムが組まれるなどクリスマス映画への関心は高く、国内で制作されたものを見渡しても、往年の名作からコメディ、新作アニメまで多種多様なJulfilmが揃っています。

今回はその中から一作、スウェーデンが誇る映画界の巨匠Ingmar Bergman監督による傑作『ファニーとアレクサンデル』Fanny och Alexander(1982)より第一部「エクダール家のクリスマス」をご紹介します。

『ファニーとアレクサンデル』は全編312分(5時間超!)にも及ぶ長編大作で、そのストーリーはプロローグとエピローグを除いて全五部構成になっています。本作はBergmanの映画人生の集大成として、また彼の自伝的要素を含む映画として知られており、当時のアカデミー賞では外国語映画賞ほか数々の賞を受賞しています。

第一部で1900年代初頭のウプサラ(Uppsala)を舞台に描かれるのは、劇場を経営する裕福なエクダール家の邸宅で繰り広げられる壮麗なクリスマスイヴの群像劇です。エクダール家の長男アレクサンデルとその妹ファニーは俳優である両親とともに、クリスマスのお祝いと称して毎年恒例のキリスト降誕劇を上演します。その後、集まった親戚たちによって同じく恒例となっている盛大なクリスマスパーティーが催され、きらびやかに飾り付けられた大邸宅で、一同は豪勢なクリスマスのご馳走に舌鼓を打ちます。

まさしく豪華絢爛といったエクダール家のパーティーの描写は、圧巻の映像美によって観ている私たちをも20世紀初頭の北欧世界へと引き込み、一家団らんの温かく幸福なひと時には、どこかノスタルジックな気持ちで自然と顔がほころびます。また映画内ではクリスマスの明るい一面だけではなく、そんな時期だからこそ浮き彫りとなる彼らの苦悩や葛藤なども断片的に語られ、子供と大人双方の視点から、スウェーデンの人々にとってのクリスマスというイベントが持つ二面性を窺い知ることが出来ます。

続く第二部「葬式」以降では、その幸福な家族の肖像は消え去って、父親の死をきっかけに暗転するアレクサンデルとファニー兄妹の運命が描かれ、それによって第一部のクリスマスイヴは幸せだった時代を象徴する記憶として、物語に切ない余韻を残しています。 

スウェーデンの名作クリスマス映画、いかがでしたでしょうか?

来週は再びデンマークの映画を紹介します!そして次回のスウェーデン映画紹介では、今回とは打って変わって最新のjulfilmをご紹介する予定です!お楽しみに🎅

 

(スウェーデン語専攻 大鋸瑞穂)

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