アドベント企画第3週目の今回は、Dyrlægens Plejebørn(1968年発表)という少し古いデンマークのクリスマス映画をご紹介します!タイトルは邦訳するならば「獣医の養子」になるでしょうか。主人公の獣医Linsager役でDirch Passer, その同僚の医師Kristian役でOve Sprogøeなどのデンマークの国民的コメディ俳優らが出演しています。Ove SprogøeはOlsen Bandenという、やはり国民的人気を誇るデンマークコメディの古典においてギャングのリーダーEgonを演じていることでも有名です。

 この映画は冒頭でまず独身で心優しい獣医師Linsagerと、その周りの人々の穏やかな日常が映し出されます。しかしLinsagerは、子どもを残して母国に帰らなくてはならないタイ人女性から、ほとんど偶然に小さな女の子Winnieを引き取ることになります。あどけなさいっぱいのWinnieに、最初は戸惑いつつも歌を歌って寝かしつけるなど優しく接するLinsager。Winnieが来たことで周囲は以前よりもずっと明るくなり、またLinsagerとWinnieの間に親子のような親愛が築かれていきます。そしてクリスマスが近づいてきます。Winnieに大きなクリスマスツリーをおねだりされたLinsagerは、“Julesne”を歌い、想像力でどこにでも行ける、ラップランドの雪原にも、と歌います。この“Julesne”のくだりはこの映画でも人気の個所の一つです。想像力でどこにでも行ける―なんだか少しメリーポピンズのようですね。さてすべてが順調に進んでいるかのような中で、Winnieの突然の失踪など事件が起こります。LinsagerはWinnieとともに明るくクリスマスを迎えることができるのでしょうか―

 作中のところどころに入るLinsagerの陽気な歌や、Dirch Passer の演じるLinsagerの、思わず笑ってしまうような表情や、やりとりは本作の見どころの一つかもしれません。非常にかわいらしく、面白く、心温まる作品と言えます。同年代で22歳の友人におすすめのクリスマス映画を聞いたところ、即答で本作があがりました。1968年に発表された映画ですが、今日のデンマークにおいてもまだまだ愛されていると言える作品でしょう。

(デンマーク語専攻 勝矢博子)

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