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作:Gunnel Bergströmグンネル・バリストゥルム

絵:Atotjka Volobujev(アトーシャ・ヴォラブジェフ)

Saga och Sassa / Sassa och Saga på vattenäventyr

サーガとサッサ/サッサとサーガの水辺の大冒険

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 今日紹介する絵本は、二匹のバクの冒険と出会いを描いたすこし変わったつくりの絵本です。熱帯雨林に暮らすサーガは、自立心があって好奇心旺盛なバクの女の子。ある日、退屈していたサーガは「人生を切り開かなくっちゃ」とお母さんのもとを離れてたった一人で森を抜け、サバンナから海へと続く大冒険に出ることに。見るものすべてが新鮮で、色んな出会いを経験していくサーガ。海辺に着くと、そこで一匹のバクがセーリングをしているのを見つけます。自分でも試してみたいサーガはサーフボードとマストをもって海へ飛び出すのですが……

 一方その頃、同じく熱帯雨林に住むバクのサッサは、両親とはぐれてしまい、一人ぼっちで食べ物を探すはめに。幸運なことに美味しいハート形の葉っぱたちを見つけたサッサは、なかでもひときわ大きいハート形の葉っぱをもって冒険を続けます。よわむしなサッサをからかう意地悪なオオハシのトーカやラップ好きのホエザル達など、熱帯雨林の個性豊かな生き物たちと出会うサッサ。するとサバンナで別のバクの気配を感じます。ワニのスポーコの指示のもと、サッサも海へと向かうのですが……

 さて、この先二人は出会えるのでしょうか。そして二人の冒険の行く末は?

この絵本はなんと前からも後からも読める不思議なつくりになっていて、片方の表紙からサーガとサッサどちらかのおはなしを読んだら絵本をひっくり返して、もう片方の表紙から別のおはなしを読むことができるようになっています。二人が出会ってからのおはなしはサーガのおはなしに続いていて、本の真ん中で二人のおはなしが終わるというとても面白い絵本です。この絵本を書いたグンネル・バリストゥルムさんは、Bennelsという小さな出版社を立ち上げて、今までに絵本を二冊、詩集を一冊出版しています。絵本に出てくる豊かな熱帯雨林の描写は、実際に現地へ赴いて取材した資料を基に書いたという気合いの入れよう。また物語には、スウェーデンで使われ始めた言葉 ‘Hen’(男性・女性を問わず使える一人称)も登場し、先進的な絵本の可能性を感じられます。そして作者のグンネルさんは、実は私たちの先生でもあります。2018年現在、彼女は大阪大学外国語学部スウェーデン語専攻のネイティブ講師として教鞭をとられています。

グンネル先生の出版社Bennelsのホームページはこちらから→ https://bennels.se/

(スウェーデン語専攻三年 大鋸)

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