作・絵:Ann-Madeleine Gelotte(アン・マデレイン・イェロッテ)

 Tyra i 10:an Odengatan

オーデン通り10番地のティーラ

 オーデン通りはストックホルムにある実際の通りの名前です。主人公の女の子ティーラは、家具がたくさん詰め込まれたひと部屋だけのアパートで、家族と一緒に暮らしています。この絵本の特徴は何といっても、しっかりとした時代考証にあります。1910年代のストックホルムでの生活が、細部まで丁寧に描かれているのです。

 中庭や通りの風景、洗濯や掃除の様子、食料品店や学校の教室は…といったように、絵をパラパラとめくるだけで当時の雰囲気を味わうことができます。特に面白いのが当時の服装についてのページで、着せ替え人形にするために切り取れるページが一枚はさまっています。

 作者アン・マデレイン・イェロッテは自身の母ティーラの子ども時代をモデルにこの絵本を制作しています。背表紙に載っているあとがきによると、実際に母にインタビューして聞いた話をもとに、「母にとっての当時のストックホルム」をありのままに描こうという意図があったそうです。そのためか、変な飾り気のない、素朴な印象のある絵本となっています。

 イェロッテは祖母をモデルにした絵本も描いているのですが、それについてはまた後日紹介します。

​(スウェーデン語専攻4年 有園)

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