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作:Astrid Lindgren(アストリッド・リンドグレン)

絵:Eva Eriksson(エヴァ・エリクション)

Räven och Tomten

きつねとトムテ

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 今日紹介するのは、アストリッド・リンドグレンのお話にエヴァ・エリクションが絵をつけた「きつねとトムテ」。言葉のリズムのとても楽しい、クリスマスの絵本です。

 森に住んでいる、おなかを空かせたきつねのミッケル。ある星のきれいな夜、ミッケルはこっそり人間の農園に降りていきます。誰も彼には気づきません──トムテ以外は。トムテは夜の間、農園を見張っているのです。ミッケルが農園の鶏を襲おうとすると、トムテに止められてしまいました。でもそのトムテは、ミッケルがお腹をすかせていることを知っていました。そこで農園の子どもたちが彼のために置いてくれたおかゆを、ミッケルに分けてあげたのでした。

 もともとトムテは農園に住み着く守護神的な存在。大事に扱えば農園に繁栄をもたらしてくれると言われていました。クリスマスの時期には、トムテにおかゆ(”gröt”)を供える習慣があります。ミッケルが分けてもらったのはこのおかゆです。今ではサンタクロースと混ざり、プレゼントをくれる側であるトムテですが、もともとはプレゼントをもらう側だったのです。

 今日はクリスマスイブ。子どものころは、サンタクロースをわくわくしながら待っていた方も多いのではないでしょうか。今夜はどこかにいるかもしれないトムテを思いながら、ゆっくり過ごすのも良いかもしれません。「きつねとトムテ」はそんな気分にさせてくれる絵本でした。見返しと裏表紙に描かれた夜空がとても美しく、ふいに空を見上げたくなります。

 そして、クリスマスイブということで、このカレンダーの更新も今日で最後です。みなさんの心に残る絵本はなにかあったでしょうか。さまざまな絵本を紹介してきましたが、スウェーデンの民間伝承・歴史・こども観など、絵本を通じて、あるいは絵本をきっかけに学べることが多くあったと感じています。とりあげた作家さんは著名な方ばかりなので、興味を持たれた方は他の作品もぜひ調べてみてください!

 それでは皆さん、良いクリスマス、そして良いお年を。God Jul och Gott Nytt År!

​(スウェーデン語専攻4年 有園)

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