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Vesterhimmerlands Museum による Johannes V. Jensen に関する簡単な説明

イェンスン:Johannes V. Jensen (1873 - 1950 )

オススメの作品は?

イェンスンはデンマーク人が誇る偉大な作家の一人です。1944年にノーベル賞を受賞しています。ただ個人的にはなかなかとっつきにくい作家でした。デンマーク人の友人たちが「読みなさい!読みなさい!」と勧めてくれるイェンスンの長編小説Kongens Fald(『国王の失墜』:1900-01)は2種類も持っています。1冊は2000年に出版されたイラスト付きの豪華本です。歴史上の人物クリスチャン2世を題材としたいわゆる歴史小説だからでしょうか。歴史にめっぽう弱い私は歴史が絡んでいるというだけで、尻込みしてしまうのです。彼はユラン半島北部のヒマラン地方に生まれ、家は農家、父親は獣医でした。彼は人生のほとんどをアンデルセンと同じく世界旅行に費やすほど旅好きで、1903年にシンガポールからアメリカに向かう旅の途中で日本に立ち寄っています。ですから彼の作品には旅の経験も数多く綴られているのですが、最初期に書かれたHimmerlandshistorier(『ヒマラン物語』:1898)はミューテ(myteとは本来は神話という意味です)と呼ばれる短い物語形式の短編作品集です。作者の幼年時代の体験と追憶に裏打ちされており、いたるところに朴訥で力強く、そして温和で誠実なユランの農民が登場します。これらの作品を読むと、私が留学時代ずっとお世話になったホストファミリーのお父さんとユラン人気質が重なってとても懐かしい気持ちになります。

Johannes V. Jensen の作品に触れることになったきっかけは?

最初は『北欧文学作品集』(東海大学出版会1976年)に収録されている短編“Kirstens sidste Rejse”(「キアステンの最後の旅」:『ヒマラン物語』所収)でした。その後、彼が来日していたことを知り、何か日本のことを書いていないかと探したときに出会ったのが、“Fujiyama”(「フジヤマ」:『ミューテと狩り』1907所収)です。この中に次のような一節があります。Det underfulde Bjerg ragede ovenud af Alverden, syntes slet ikke at stå på Jorden, for Bjærget var så langt borte, at dets Fod gik i et med den blå Tykning, der dannede Himlen over Japan.

「全世界から突き出したこの不思議な山は、大地に足を下ろしているとは思えない。なぜなら山があまりに遠くそびえているものだから、その山の麓は日本を被う空のあの青い厚みの中に溶けてしまったのかもしれない」と。Jensenは富士山に神性を見出していたように思います。大地と天を結ぶ神聖な山として映ったのでしょう。

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