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Søren Kierkegaard による実存の3段階(+1段階)について、現代の事柄を用いながら説明しています。

キェルケゴール:Søren Kierkegaard (1813 - 1855)

代表作(日本語に翻訳されているもの)

『あれかこれか』(1843)、『おそれとおののき』(1843)、『反復』(1843)、『不安の概念』(1844)、『現代の批判』(1846)、『愛の業』(1847)『死に至る病』(1849)、『瞬間』(1855)など。

 

このうち次のものが現在文庫版ないし、新書版で購入可能です。

 

『死に至る病』(岩波文庫:斎藤信治訳、ちくま学芸文庫:桝田啓三郎訳、講談社学術文庫:鈴木 祐丞訳、中央クラシックス『死に至る病・現代の批判』と合冊:桝田啓三郎訳)、

『不安の概念』(岩波文庫:斎藤信治訳)など。

 

また未知谷という出版社からはキェルケゴールの生誕200年を記念して、〈セーレン・オービュイ・キルケゴールの著作全5巻〉(『美しき人生観』、『初恋』、『誘惑者の日記』、『結婚の美的権利』、『美と倫理』:飯島 宗享、中里巧訳)が出版されています。

 

こうしてみると、キェルケゴール(キルケゴール)は一般にはそれほど読まれていない難解な作家であるにも関わらず、今なお文庫や新書版で買えるものが意外とたくさんあることに驚かされます。とりわけ、昨年、今年と立て続けに次世代を担うキェルケゴール研究者、鈴木 祐丞さんからキェルケゴールの日記や『死に至る病』の新訳が出たことはとても嬉しい限りです。かくいう私はまだこの新訳を読んでいないのですが、これまでに出たキェルケゴールの訳で私が好きなのは、桝田啓三郎氏のものです。桝田啓三郎氏のご子息桝田啓介氏はブリクセンの『バベットの晩餐会』の訳者です。私自身、大学3年生の時に『死に至る病』でキリスト教学のレポートを書いた懐かしい思い出があります。最後まで読み終えるのに、そしてレポートを仕上げるのにどれほど悩んだことか? 幸い死には至りませんでしたが。。。

日本ではまだ翻訳されていないオススメ作品

日本でまだ翻訳されていない作品はほとんどないのではないでしょうか?デンマーク語からの直訳ではないにしろ、キェルケゴールは戦後の日本の実存主義思想、実存主義文学の中で熱狂的に迎え入れられた作家です。キェルケゴール没後100年を祝った1955年の法政大学における記念集会では聴衆が千数百名を数えたという記録が残されています。今では考えられないことですね。日本で翻訳されていない作品に、“Lovtale over Efteraaret”(「秋礼讃」:1846)があります。これは現在の大阪大学外国語学部がまだ大阪外国語大学だった頃、社会での第一線を退き再び学生に戻り、デンマーク語専攻に入学して来られたKさんに教えていただいた作品です。Kさんご自身が大学生の時に、キェルケゴールに出会い、『反復』が「座右の書」となったそうです。死ぬまでにどうしてもキェルケゴールを原語で読みたいと60歳を過ぎてからデンマーク語を学ばれた方ですが、本当にキェルケゴールの熱烈な読者です。「秋礼讃」の中でキェルケゴールは秋を「楽しみのとき、色のとき、雲のとき、音色のとき、追憶のとき」と褒め讃えています。キェルケゴールの文章はとても難しいですが、秋が一番好きな私にとっては、やはりオススメしたいエッセイです。私自身、Kさんと出会わなければ、キェルケゴールのこのような魅力的なエッセイには出会わなかったと思います。Kさんに心から感謝!

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