Herman Bang 著 『Tine』は、Arkiv for Dansk Litteratur で無料公開されています。

バング:Herman Bang (1857 - 1912 )

オススメの作品は?

Tine (1889)

小説のタイトルTineは物語の女主人公の名前。小説の舞台は1864年の第二次スリースヴィ=ホルスティーン戦争が繰り広げられた南ユランのアルス島。主人公Tineの悲恋とドイツへの敗北が二重写しで語られます。Bangは直截的説明を可能な限り差し控え、登場人物の行動と心情を絵画的文体によって見事に描きます。特にバングが得意とした会話体、目立たずひっそりと生の哀しみを背負って生きる主人公Tineの呟くセリフが圧巻です。

Bang の作品に触れることになったきっかけは?

今から30年近く前、コペンハーゲン大学で「Herman Bang の作家像と文体」という授業を半期履修した時に初めてバングという作家に出会いました。バングが小説に頻繁に取り上げた題材は大きく2種類のパターンに分けられます。一つはジャーナリストとしても活躍したバングの描く都市コペンハーゲンとそこに暮らす虚飾に満ちた都会人の華やかな生活。そしてもう一つが上記のオススメの作品に描かれているような、世間の影でひっそりと生きる目立たない静的な女性たち。当時の北欧文芸界を牽引していた評論家ブランデスの門下生としては認められなかったアウトサイダーの作家像とその特異な文体にとても魅力を感じました。