上のリンクにある Politiken 社による Finn Søeborg へのインタビュー記事では、Søeborg自身はそれほどユーモアに富んだ性格ではないことや、あまり社交的でないことなどが語られています。デンマーク人を大いに笑わせてきた作家の本当の姿が垣間見えるようなインタビュー記事です。

スボー:Finn Søeborg (1916 - 1992)

オススメの作品は?

短編小説の“Alfred” (「アルフレズ」1966 Alfred og andre historier『アルフレズと他短編集』所収)です。スボーは60年代から80年代にかけて国民に広く愛された人気作家です。当時文化ラディカリズムが台頭し、難解なモダニズム文学が文壇や大学の文学分析で議論の対象となる一方、スボーの作品は居間のソファーに寝転がってクスクス、あるときはゲラゲラと読み進めることができるほど、口語体に近い平易な文体で書かれています。私は短編「アルフレズ」が大好きです。無垢な男の子イブと瘋癲(フーテン)のおっさんアルフレズのあいだに結ばれた純粋でユーモア溢れる友情がなんとも微笑ましいのです。現代のデンマークの若者にどれほど支持されているのかは分かりませんが、少なくともデンマーク語を勉強する外国人にはオススメの作家です。しかしながらちゃんと日本語に訳そうとすると、これが結構難しいのも事実です。子ども向けの絵本を訳そうとして、俗語的な言い回しや、会話体、感情の微妙なニュアンスをうまく日本語に言い換えられないのに似ていますが、疲れたときには一服の清涼剤。読んでいて素直に楽しめる作家です。

スボーの作品に触れるきっかけは?

留学時代の語学学校で読んだのがきっかけです。語学学校で小説を読むことは稀でしたが、段々と上級のクラスに上るにつれて短編小説を読んでその内容を自分の言葉で再話する練習がありました。そのトップバッターに登場したのがこの「アルフレズ」です。内容はすぐに理解できましたが、それをもう一度自分の言葉で説明し直すのは難しかった!でも男の子のイブとフーテンのアルフレズの会話を一人芝居よろしく声色を変えて日本語のようなデンマーク語で演じて、語学学校の先生に「デンマーク語はいまいち、でも役者だね」と、くさして同時にほめてもらいました。授業で何回かこの作品を読んだことがありますが、学生さんに訳してもらうとき、大抵は普通の訳になるのですが、何人かイブとアルフレズの役柄を使い分けて訳してくれるとすごく嬉しくて「そうそう、そんな感じよ! これ語劇で使ったら?」となんども勧めましたが、いまだに彼らが演じてくれたことはありません。